Brighton の
Duke of York にて
ノルウェイの森 を鑑賞。
原作は5年位前に読んでおり、映画を見ながら、色々と思い出す場面もありました。
トラン・アン・ユン監督の作品は、『青いパパイヤの香り』で、
すごく透明感のある映像が印象に残っています。
本作品では、大学のキャンパスやアパートの部屋など、現実的な画が多かったけど、直子が暮らす京都の山が真っ白な雪や新緑に囲まれているシーンなどは、現実を直視できずに傷ついている直子の心が伝わってくるような繊細な映像に仕上がっていました。

村上春樹さんの作品を読んでいると、現実の非現実の間が漠然とした感じになるのですが、
本作品は、その曖昧さがちょうどよく映像化されいていました。

セリフも、小説からそのまま抜き出されていて、鑑賞中は多少の違和感を感じましたが、俗世間から抜け出した特別な雰囲気が出ていて、結果的には絶対に良かったと思います。

菊池輪子さんは、本当に不思議な女優さん。
クールで気が強そうな印象があって、この作品見る前は、「こんな繊細な役は凛子ちゃんじゃないでしょ!」って思ったけど、ボーイフレンドと寝れなかったことをポツリポツリ話すシーンなど、針に糸を通すような細かい表現を自分のものにしていて、感動してしまいました。
なお、松ケンは、いつも通り、演技しているのか、自なのか分からないような無味無臭な空気感が出ていました。

緑はこの作品で、唯一、喜怒哀楽を表現する「普通の子」だけど、本当は直子と同様に、心に傷も抱えている影の部分もある。しかし、直子が自ら命を絶ったのとは逆に、ポジティブに生きていこうという力がある。
映画デビューの水原希子ちゃんの演技は、少しぎこちなかったけど、
そんな爽快感が出た演技が見ていて気持ちがよかったです。
テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画